ラ・ラ・ランド

『ムーンライト』と同年の賞レースを競った『ラ・ラ・ランド』
一組の男女のラブストーリーを鮮やかな色彩で描くミュージカル
まさに往年のハリウッド映画を思わせる作品。

店主個人的にはこの作品が米アカデミー賞の最優秀作品賞を取るべきだったと思っているわけですが
映画(ハリウッド)が時代の先端にあった懐かしい頃を思わせる作品だから受賞すべき
というわけではありません。

『ラ・ラ・ランド』という作品
楽しいミュージカルという皮を被っておきながら
一人の人間が夢を追うために必要な“狂気”の部分に触れています。
夢を叶えられるのは“狂気”に踏み込める人間
そこに「みんなに優しい」という要素は全くありません
また夢を諦めるという選択肢の可能性も示唆しています
そしてそれが不幸なことであるともしていません
実はこの作品は観客(大衆)に寄り添い、共感を求めることはなく
どちらかというと突き放し、その選択を問いかけています。

社会的価値観の多様化という理由のみならず
ビジネスが最優先となったことで
大衆を先導(扇動)するモノでもあった映画は
大衆に迎合するモノとなりました。
ハリウッドというコミュニティが
映画を“特別な”ものであるとして
その存在価値を明確にし
時代の先端であり続けることを主張するなら
観客に寄り添うことなく
創造的な世界を“特別な”世界として描いている
この作品に賞を与えなくてはいけなかったと、、
…主張しますw。

ただ所詮、米アカデミー賞ってハリウッド内輪のお祭りなわけで
その外側にいる人にとってはそこまで価値を重視する必要はなく
そういう意味では日本アカデミー賞も同じですし
映画に関わらず○○賞とかの多くはそういうことだと思っています。
だから受賞した人やモノをそれを理由に褒める必要は無くて
○○賞をやっているコミュニティの価値をその人やモノから判断すればいいと思うのです。
結局のところ、いずれの作品に優劣があるわけでもないのです。

 

『ラ・ラ・ランド』(128分/アメリカ/2016年)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン 他

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